第1期シリーズは2004年に松戸市のバンダイミュージアムで上映されたのが初出(後にローソン専売やレンタルソフトとしてDVD化)、第2期シリーズは2006年4月よりOVAとして発売された。タイトルとオープニングテーマが変わっただけでストーリーは連続している。
ジオン公国軍の第603技術試験隊を舞台に、毎回登場するジオンの試作兵器の試験を描く。バンダイの川口克己のサイトでの解説によればタイトルである『MS
IGLOO』のIGLOOとはアラスカ原住民が住居とする氷のドーム型建造物が語源で、その形状から転じて戦場で軍事物資を集積するための土饅頭を指す軍事用語としても使われており、ジオン軍の秘密兵器群をイメージさせる語としてタイトルとして使われたとのこと。
本作で登場する試作兵器はどれも1回または数回の実戦試験のみで開発が打ち切られ、パイロットたちの命と引き替えに少なからぬ戦果を挙げるものの、結局は正式採用されずに消えていったものばかりである(後世の軍事マニアならば「珍兵器」として扱うであろう)。しかし、それら時代の主流となり得なかった兵器に携わる男たちは全身全霊をかけて試験に挑み、そして散っていく。その熱い生き方を称して監督の今西隆志は、本作のコンセプトを「挫折するプロジェクトX」と表現している。
また敗者の側からの記録という点で、第二次大戦でのドイツ軍側からの視点で描いたパウル・カレルの一連の戦記や、松本零士の『ザ・コクピット』『戦場まんがシリーズ』に通じる部分もある。
その一方、連邦軍の描き方が粗暴に過ぎると(連邦軍よりのファンから)批判されることもある。これに対し今西監督は小説版『黙示録0079』の巻末解説で、本作はあくまでジオンの実直な一青年(マイのことであろう)の視点からの物語であり、顔も見えない連邦軍兵士達のキャラを立てるためにあえてヤクザっぽく描いたと語っている。
確かにモビルスーツは全話いずれにも登場するが、『MS?』のタイトルとは裏腹に第603技術試験隊が運用したモビルスーツはEMS-10ヅダのみであった(漫画版ではゲム・カモフも登場)。またガンダムシリーズのOVAでありながら、ガンダムという名の機体が劇中の記録映像内の1カットのみしか登場しないという異色作である。
作品の登場人物名、『黙示録0079』第1話に登場するゼーゴックの胸にマーキングされているエンブレム等、ドイツ映画『U・ボート』からの影響がしばしば見受けられる。
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